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多幡 達夫*; 久保 博孝; 左高 正雄
JAERI-Research 2003-015, 23 Pages, 2003/08
原子衝突断面積を入射粒子エネルギーの関数として解析的に表す式を作成する方法について述べる。適切な関数形の選び方と調節パラメータの最適化の問題を取り上げる。データの外挿を可能にするため、合理的な漸近形を持つ関数を使用することが重要である。この点で、修正型Green-McNeal公式が、各種の原子衝突断面積に対し有用であることがわかった。イオン化過程に対しては、修正型Lotz公式がしばしば良好な適合を示した。解析的表式中の調節パラメータの最適化には、最小二乗方法のためのALESQコードが便利であった。
J.Eichler*; 市原 晃; 白井 稔三
Physical Review A, 51(4), p.3027 - 3035, 1995/04
被引用回数:53 パーセンタイル:90.56(Optics)重イオン原子核と軽元素原子との衝突で生じる輻射電子捕獲について、放出光子の角度分布を計算し、重イオンの電荷および入射エネルギーに対する依存性を調べた。輻射電子捕獲の断面積はradiative recombinationの断面積により定量的に再現されるため、radiative recombinationに関する厳密計算を行い、放出光子の角度分布を求めた。また、電子スピンの与える影響について考察を行った。
Th.Stoehlker*; C.Kozhuharov*; P.H.Mokler*; A.Warczak*; F.Bosch*; H.Geissel*; R.Moshammer*; C.Scheidenberger*; J.Eichler*; 市原 晃; et al.
Physical Review A, 51(3), p.2098 - 2111, 1995/03
被引用回数:106 パーセンタイル:96.52(Optics)高エネルギー原子衝突における、軽元素原子から重イオンのK-殻上への輻射電子捕獲の断面積を、Au、Pb、Bi、およびUについて測定した。得られた放出光子の角度分布は相対論的取扱いを考慮した理論計算の結果と良く一致することが確認され、これまでの非相対論的計算から導かれるsin分布に従わないことが見出された。また相対論的理論計算に基づき、輻射電子捕獲の断面積を見積もるためのスケーリング則を与えた。市原、白井、Eichler[Phys.Rev.A49,1875(1994)]の計算に基づく実験がドイツ重イオン科学研究所(GSI)で行われ、実験結果を共同で解析した。
T.Kandler*; Th.Stoehlker*; P.H.Mokler*; C.Kozhuharov*; H.Geissel*; C.Scheidenberger*; P.Rymuza*; Z.Stachura*; A.Warczak*; R.W.Dunford*; et al.
Z. Phys., D, 35, p.15 - 18, 1995/00
Uを110-140MeV/uで炭素原子に衝突させた際の、炭素からUのM殻上への輻射電子捕獲について、放出光子の角度分布を測定した。その結果、角度分布のピークが90°より前方で生じることが確認された。実験結果は相対論を考慮した理論計算の結果と良く一致しており、理論計算からは、放出光子の角度分布の非対称性がUのM(3s/2)状態への輻射電子捕獲に大きく依存することが示されている。市原、白井、Eichler[Phys.Rev.A49,1875(1994);A51,3027(1995)]の計算に基づく実験がドイツ重イオン科学研究所(GSI)で行われ、実験結果を共同で解析した。
Th.Stoehlker*; H.Geissel*; H.Irnich*; T.Kandler*; C.Kozhuharov*; P.H.Mokler*; G.Muenzenberg*; F.Nickel*; C.Scheidenberger*; T.Suzuki*; et al.
Physical Review Letters, 73(26), p.3520 - 3523, 1994/12
被引用回数:38 パーセンタイル:84.4(Physics, Multidisciplinary)Uを89MeV/uで炭素原子に衝突させた際の、炭素からUのL-殻(j=1/2、3/2)上への輻射電子捕獲について、放出光子の角度分布を測定した。j=3/2状態への輻射電子捕獲については、角度分布のピークが90°より後方に現れることが見出され、相対論を考慮した理論計算の結果と良く一致することが確認された。同時に、高Z価重イオンに対する輻射電子捕獲については、光子の角度分布が非相対論的計算から導かれるsin則に従わないことが明らかにされた。市原、白井、Eichler[Phys.Rev.A49,1875(1994)]の計算に基づく実験がドイツ重イオン科学研究所(GSI)で行われ、実験結果を共同で解析した。
市原 晃; 白井 稔三; J.Eichler*
Physical Review A, 49(3), p.1875 - 1884, 1994/03
被引用回数:78 パーセンタイル:94.32(Optics)軽元素標的原子に、裸の重イオン原子核を高速で衝突させた時に生じるradiative electron capture(REC)の断面積計算を行った。計算方法にはimpulse近似を用い、重イオン原子核上での1電子波動関数にはDirac方程式の解を使用している。この計算では、197MeV/uにおけるXe+BeのREC断面積の実験結果を定量的に再現していることが確認できた。一方で、295MeV/uにおけるU+Nに関する計算結果からは、より高エネルギー領域では相対論的な効果が無視できなくなることが示されている。
布施 元正*; 岩田 忠夫
JAERI-M 85-118, 37 Pages, 1985/08
核融合炉材料の照射損傷は固体内原子衝突によって生じるが、この現象に関する理論的研究は大型計算機の発達とともに近年急速な進展をみせている。本報では、固体内原子衝突過程の計算機シミュミレーション手法のうち、分子動力学法と呼ばれている計算手法による多体原子衝突の計算に関する文献を中心に調査し、その結果をまとめた。調査項目は、(1)原子間ポテンシャルとその適用性、(2)分子動力学法、(3)フレンケル対生成過程などのシミュレーション結果である。計算機シミュレーションによる多体原子衝突過程の解析の結果、集束置換衝突現象、結晶中でのはじき出し閾エネルギーの異方性等が解明されている。
小沢 国夫; 中井 洋太; 白井 稔三
Journal of Nuclear Materials, 128-129, p.999 - 1000, 1984/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.16(Materials Science, Multidisciplinary)第6回プラズマ・壁相互作用国際会議において、核融合のための原子分子データのデータ・ベースに関するスペシャルセッションが企画されており、JAERIのA&M Dataに関する活動について発表する。内容は、(1)データセンタの構成 (2)データ収集と評価方法 (a)Data compilation for depth distribution of Ion-induced damage and Ion-implanted atoms (b)Data compilation for radiation effects on H-recycle in fusion reactor materials (c)Data on trapping and Re-emission of energetic H-isotopes and He in materials (3)AMSTOR-System
龍福 廣
Phys.Rev.,A, 25(2), p.720 - 736, 1982/00
完全チャネル系に基づくユニタリー化歪曲波近似法によりH,Li,B,CおよびSiイオンが水素原子に衝突した場合の電離、励起、電荷移動断面積を求めた。 電離チャネルを入射粒子に中心を置くクーロン波動関数で表すことにより、「連続状態への電荷移動」を考慮した。 得られた電荷断面積は入射粒子の電荷に対し二次関係よりゆるやかな依存性を示した。 電離・励起チャネルの導入は電荷移動断面積を、衝突エネルギー10keV/amu以上で入射粒子電荷の高い場合に、極めて減少させた。 電荷移動断面積に対するスケーリング則を新たに求め、0.01~500keV/amuのエネルギー範囲で、実験および他の理論と比較した。
俵 博之*; 川面 澄; P.Richard*
Physical Review A, 26(1), p.154 - 161, 1982/00
被引用回数:27 パーセンタイル:82.25(Optics)一回衝突の条件下で、入射イオンのK殻空孔へ直接に標的原子の電子が捕獲される時発生するX線(REC)をHeガスを標的として測定した。6MVタンデム型加速器を用いて、1540MeVのエネルギー範囲で、K殻にすでに空孔を持っているF及びFイオンを入射イオンとした。Fイオンに対する90°方向のRECX線発生断面積はBethe-Salpeterの計算値とよい一致を示した。F及びFイオンに対する全REC発生断面積は電子捕獲の全断面積より3桁以上小さいことが明らかになった。理論によると高エネルギーでの衝突では非放射過程より放射過程(REC過程)が強くなることが示されており、高エネルギー重イオン加速器を用いたRECX線の研究が興味深いことを指摘した。
川面 澄; 俵 博之*; P.Richard*
IEEE Transactions on Nuclear Science, NS-28(2), p.1053 - 1055, 1981/00
Heガスをターゲットとして入射イオンのK殻空孔への放射電子捕獲(REC)によるX線をSi(Li)検出器を用いて測定した。入射イオンとしては6MV,タンデム加速器よるF及びFイオンを用いた。そのエネルギー範囲は15~40MeVである。REC,X線のピークエネルギーは入射イオンのエネルギーの減少と共に直線的に減少し、その結果から、F及びFイオンの1S電子の結合エネルギーを得た。天々955eV及び1105eVであり、理論値とは2~3eV異なるだけであった。REC,X線エネルギーの巾、RECは理論とは異なり、Fイオンの場合にはFイオンの場合より20%小さくなった。
龍福 廣; 佐々木 健; 渡部 力*
Phys.Rev.,A, 21(3), p.745 - 750, 1980/00
水素原子と部分的にストリップされた重イオンの低エネルギー衝突における電荷移動断面積の実験値を解析するために、入射粒子をある有効電荷をもった裸の核におきかえるというモデルを用いてUDWA計算を行なった。その結果、10keV/amu以下の低エネルギー領域において、断面積が有効電荷に対して強い振動依存性を示すことが分った。さらに、この振動依存性はジアバティクポテンシャル曲線の交差から来るものであり、低エネルギーにおいて、BayfieldおよびCrandall他によって観測された断面積が種々の元素(B,C,NおよびO)のイオンを衝突させた場合に非常に異なって来るという結果はこの断面積の振動的挙動に帰着することができることが分った。
龍福 廣; 佐々木 健; 渡部 力
Atomic Collision Research in Japan, Progress Report, p.38 - 40, 1979/00
水素原子と部分的にストリップされた重イオンとの低エネルギー衝突における電荷移動断面積の実験値を解析するために、入射粒子を一定の有効電荷をもった裸の核に置き代えたモデルを用いて、UDWA計算を行った。計算結果は、10keV/amuの低エネルギー領域において、有効電荷に対する断面積の強い振動依存性があることを示した。この振動性は非断熱ポテンシャル曲線の交差によることが分った。
龍福 廣; 渡部 力
Atomic Collision Research in Japan, Progress Report, p.41 - 45, 1979/00
水素原子にLi,Be,B,C,O,Ne,SiおよびCaイオンが衝突した場合の電荷移動断面積をUDWA(Unitarized distorted wave approximation)法で計算した。その結果を用いて、イオン電荷に対する断面積のスケーリング則=Z,=Zを導いた。ただし、,は断面積およびエネルギーで、,はスケーリングされた断面積およびエネルギーである。実験値との比較結果、100keV/amu以下のエネルギー範囲では妥当な方法であり、100keV/amu以上では多少過大評価となる方法であることが分った。
龍福 廣; 渡部 力
Atomic Collision Research in Japan, Progress Report, p.46 - 48, 1979/00
最近の実験装置の発展に伴って、電荷移動過程における捕獲電子の終状態の分布が測定されるようになった。われわれは、このような情況に応じて部分電荷移動断面積の計算を行ない、実験と比較するために結果の整理を行なった。
龍福 廣; 渡辺 力*
Phys.Rev.,A, 20(5), p.1828 - 1837, 1979/00
ユニタリー化された歪曲波近似(UDWA)法を用いて、Ne+H,Si+HおよびCa+H衝突における全電荷移動断面積をイオン衝突エネルギーが各々0.025-2000,0.025-5000および0.1-10keV/amuの場合について計算した。また、これらの結果を基にイオン電荷に対する断面積のスケーリング則を導いた。入射粒子の個々の軌道への電子捕獲に対する部分断面積を調べた結果、次のことが分った。衝突エネルギーが100keV/amu以下の場合は、最も頻度の高い主量子数はエネルギーに無関係であるが、100keV/amu以上ではエネルギーと共に次第に減少する。また、各運動量量子数に対する終状態の分布には、レベルクロッシングおよび運動量移行の効果が現れていることが確かめられた。
岩田 忠夫
放射線, 5(2), p.51 - 61, 1978/02
核融合炉材料等の中性子照射損傷をシミュレートするために重イオン照射が行われている。本報では、このシミュレーションの研究の中心的な事柄について、現状を紹介し、問題点をあげると共に、有力な実験手段としての熱量測定法について考察した。
龍福 廣
JAERI-M 6274, 50 Pages, 1975/10
原子衝突過程における電荷移動断面積をBorn近似、歪曲波の方法、PSS法および衝突係数法により数値計算する方法についてまとまた。衝突係数表示を用いることにより従来の近似法の構造を明らかにした。また、水素原子または粒子が水素原子に衝突する過程について計算した結果を実験と比較検討した。
大野 新一
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 48(7), p.2229 - 2230, 1975/07
被引用回数:1古典的二体衝突理論を使って、入射するArおよびHイオンの直接作用によるHeのイオン化収量と二次電子によるイオン化収量を別々に計算した。両者の比率が入射イオンの種類およびエネルギーにより大きく変ることを示す。